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今こそライフジャケットを正しく理解しましょう

2022/05/9

 

『海では必ずライフジャケットを着用しましょう』

北海道の遊覧船事故で海の安全について注目されています。

多くの命が失われ、行方不明となる大惨事でしたが、犠牲者の中にはライフジャケットを着用していた方もいたそうです。

命を守るライフジャケットを着用しても助からなかったことは大変痛ましく残念ですが、では着ていても無意味なのかと言えば答えは「ノー」。

今回の事故は低水温という寒冷地特有の条件が生存率に大きく関係したと言われています。

海難事故で命を守る第一条件は何よりも“水に浮くこと=呼吸を確保すること”です。

小型船舶の船長には、平成30年2月から全ての乗船者に原則としてライフジャケット着用が義務付けられています。

また、着用義務のないセーリングディンギーやカヌー、SUPをはじめ、釣りなどの海遊びについても着用が推奨されており、海の安全に欠かせないアイテムです。

ホームセンターやマリンショップでは多くのタイプが販売されていますが、使用方法に合わないものを購入すると法律違反になったり、最悪、緊急時に使用できない場合があります。

そこで、プレジャーヨット・ボートユーザーの視点から、ライフジャケットを知り、どのようなものを選んだらいいかを考えてみたいと思います。

ライフジャケット(救命胴衣)とは?

落水した際に体を水面に浮かせるための救命具です。

装着することで頭を水面上に保ち呼吸を確保するとともに、体力の消耗を抑えたまま救助を待つことで生存率を高めることができます。

「桜マーク」つきライフジャケットとは?

国が安全を確認した証の「桜マーク」が記されたライフジャケットです。

小型船舶として登録された船舶は法定備品として定員分備えなければなりません。

桜マークのないライフジャケットは違反?

小型船舶として登録された船舶の全ての乗員は原則として「桜マーク」のライフジャケットを着用する義務があり、違反すると船長が罰せられます。

無印のライフジャケットは着用とは見なされないため違反です。

子供も必要?

もちろん子供もです。

桜マークには子供用として体重に応じて浮力の異なる3種類があり、適切なものを着用しなければなりません。

なぜ桜マークのライフジャケットは格好悪いのか?

海で最も目立つ色になっているからです。

全ての航行区域で使用可能なライフジャケット(タイプA)は黄色やオレンジ色などの色でなければならないと決められています。

タイプAでも膨張式はカラーバリエーションが豊富では?

膨らんだ気密袋が黄色やオレンジ色になっています。

できればおしゃれに着こなしたい・・・

タイプAの膨張式か、タイプD※(一部の小型船舶のみ)を検討してみては?

※タイプDは色指定がなくデザイン性があります。ただし、使用できるのは「陸から近い水域のみを航行する旅客船・漁船以外の小型船舶」に限られます。

平水区域、2時間限定沿海区域、沿岸区域が航行区域となっている小型船舶で使用できますが、それ以上の航行区域をもつ船舶には使用できません。

登録小型船舶ではないセーリングディンギーやカヌーなどは?

法的義務はありませんが着用が推奨されますし、生命のためにも当然着用すべきです。

登録小型船舶と違い、十分な浮力があれば「桜マーク」の有無に関わらず使用できます。

どのライフジャケットを選んだらいいか?

ライフジャケットには大きく分けて「固型式」と「膨張式」があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

船舶や用途に適したタイプを選びましょう。

『固型式ライフジャケット(一般的なライフジャケット)』

・メリット

正しく着用していれば間違いなく水に浮くことができる(信頼性が高い)、比較的安価に購入できる、メンテナンスが容易

・デメリット

浮力体が大きく動きにくい、持ち運びに不便、タイプによっては色が限定される(デザイン性に乏しい)、夏は暑い

・固型式はこんな人におすすめ

セーリングディンギー・カヌー・SUP・水上バイクなど水に濡れることが前提となる船舶やレジャー、子供の着用

『膨張式ライフジャケット(首掛け式、ベルト式)』

・メリット

着用感が少なく動きやすい、カラーバリエーションが豊富、コンパクトで持ち運びに便利

・デメリット 

高価、使用ごとにガスボンベの交換が必要、緊急時に使用できない(膨らまない)場合がある(メンテナンス不足、気密袋の破損など)、手動膨張式は緊急時にパニックとなり使用操作ができない場合がある、自動膨張式(水感知式)は水や湿気で意図せず膨らむことがある、メンテナンスが手間

・膨張式はこんな人におすすめ

モーターボート・セーリングクルーザーなど水に濡れにくい船舶

海はとても楽しく、多くの恵みをもたらす場所です。

しかし、「板子一枚下は地獄」。一歩間違えれば死の危険と隣り合わせの過酷な環境でもあります。

緊急時に海で助かるためにはまずは浮くこと!

それにはライフジャケットの着用が欠かせません。

不幸にも助からない命もあることも事実ですが、正しく着用することで非着用時と比べて大幅に生存率を高めることができます。

身を守るための備えを万全にし、上手に海と付き合いましょう。